コーヒーは夜8時までに飲み終える。

「コーヒーは夕方以降飲まないようにしている」という人、多いと思います。でもなぜ“夕方以降NG”と言われることが多いのか、具体的な根拠を知っていますか?早稲田大学の柴田重信先生らが研究してきた「時間栄養学」から、コーヒーと体内時計、睡眠との関係を見てみましょう。


柴田先生の見解と実験

● 見解:就寝4時間前までにカフェインを含むコーヒーを終えること

柴田重信先生は、「体内時計を整えるため」に、カフェインを含む飲み物(コーヒーなど)は就寝の 4時間前までに済ませる のが望ましいと述べています。これは体内時計が夜型にズレるのを防ぐための指針です。早稲田大学

● 実験:マウスを使った深夜コーヒー投与での体内時計の変化

柴田先生の研究チームでは、マウスを深夜(非活動期)に起こしてコーヒーを与える実験を行いました。その結果、腎臓・肝臓・顎下腺などの末梢時計が 夜型化 することが確認されました。つまり、夜遅くコーヒーを飲むことが生体のさまざまな臓器の時計リズムを遅らせ、体の「夜モード」が強くなるのです。J-STAGE+1

また、ヒトを対象にした調査でも、夜間に光を浴びたりコーヒーを飲んだりすると体内時計が遅れる(夜型にシフトする)ことが明らかになっています。栄養NEWS ONLINE | 栄養ニューズ オンライン+1


夜8時を目安にする理由

柴田先生の指針「就寝4時間前」という基準をもし「就寝時間を12時」と仮定したら、12時−4時間=夜8時ということになります。

  • もしあなたの就寝が12時前後なら、コーヒーは夜8時までに終えるのが理想。
  • もし就寝がもっと早ければ(例えば11時)、なら7時、もっと遅ければ9時という具合に、就寝時間から4時間前を意識すればOK。

このように「夜8時にコーヒーを終える」というのは、一般的な睡眠時間を元にした目安としてわかりやすい指標です。


なぜ夜遅いコーヒーが問題か

  1. 覚醒作用:カフェインには中枢神経を興奮させて目を覚まさせる作用があります。就寝前に飲むと入眠を妨げたり、寝付きが悪くなることがあります。
  2. 体内時計のズレ(夜型化):上述の実験で、夜遅くのコーヒーによって臓器の時計リズムが夜型にずれることが確認されています。体内時計が遅れると、寝起きの悪さ、集中力の低下、代謝の低下などにつながる可能性があります。
  3. 睡眠の質の低下:カフェインが代謝されるには時間がかかります。夜遅く飲むと、就寝してからも影響が残り、深い睡眠や中途覚醒の増加などを引き起こす可能性があります。

実践のコツ

  • コーヒー好きでもなるべく 夜8時まで に最後の一杯を飲む。就寝時間から逆算するなら「睡眠開始の4時間前」が目安。
  • もし夜にコーヒーを飲みたいなら、デカフェ(カフェインレス)を選ぶか、カフェインの少ないお茶などを代用。
  • コーヒーの他にも、夜遅くのスマホ・明るいライト・夜食なども体内時計を遅らせる要因なので、これらも併せて見直す。

まとめ

  • 柴田重信先生の時間栄養学の研究では、夜遅くのコーヒーが体内時計を夜型に遅らせることが確認されている。
  • 就寝の 4時間前までにコーヒーを終える という指針があり、夜12時就寝なら 夜8時まで が目安。
  • 夜8時以降はカフェインの影響が残りやすく、睡眠の質や体のリズムに悪影響を与える可能性あり。

コーヒーの香りや味が好き、という人も多いと思いますが、夜遅くに楽しむのは控えめに。快眠・健康のため、自分の生活リズムに合わせて「夜8時までに飲み終えるコーヒー習慣」を取り入れてみてはいかがでしょうか?

引用文献

Burke, T. M., Markwald, R. R., Chinoy, E. D., Snider, J. A., Bessman, S. C., Jung, C. M., … Wright, K. P. Jr. (2015). Effects of caffeine on the human circadian clock in vivo and in vitro. Science Translational Medicine, 7(305), 305ra146. https://doi.org/10.1126/scitranslmed.aac5125

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