「あの人は太っているけどとても健康そうだなあ。」という状況は結構あると感じています。もちろん肥満ということで様々な疾患の罹患リスクが上がってしまうのは事実です。糖尿病もその一つです。
さらに糖尿病に肥満や、喫煙、高血圧、脂質異常症などの動脈硬化のリスクが加わると心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まることが分かっています。
昨日BMIだけが肥満の指標にならないと書きましたが、一部の例外を除いて概ねBMI25以上の方は肥満となるでしょうし、30以上であればほぼ間違いなく肥満でしょう。
この論文では肥満だとしても心肺機能が高ければ循環器疾患で亡くなるリスクが下がるということを述べています。
方法
- 1970年~1998年までの前向き研究
- 被験者:糖尿病と診断された男性2316人。(心疾患の既往なし)
- BMI:18.5-35まで
- BMI、生存率、フィットネスレベルを統計処理
BMIによる生存率の差
縦軸は生存率、横軸は経年です。全体的に月日が経てば生存率が下がるのは見てのとおりですが、BMI30-34.9の被験者の生存率は他の2つに比べ下がっています。しかし、統計的な差はありませんでした。
体力レベルによる差
これは被験者を3つの体力レベルに分けて経年で見た生存率です。体力はトレッドミルでMETsという指標を使って測定しています。普通の登山やジョギングが出来ないような体力レベルをLow Fitnessとしているようです。こちらはLowFitnessのほうが生存率が低いという結果になりました。
肥満+低い体力レベル
3つ目は4つのグループを比較しています。
①普通の体力+普通のBMI
②普通の体力+肥満
③低体力+肥満
④低体力+普通のBMI
表をみると、2つの曲線がほぼ重なり合って2つのグループに分かれて見えます。生存率の高い2つの曲線は普通の体力で生存率の低い2つのグループは低体力のグループでした。つまり、BMIの数値よりも体力レベルで生存率が変わることが分かりました。
また、上2つの結果から③が一番生存率が低そうに思えますが、実際は④でした。つまり、低体力グループに限ってはBMIがやせ型~普通の方が肥満groupよりも生存率が低くなっています。
最近少し太っているくらいの方がやせすぎているよりも長生きするというのはよく聞く話です。食べ過ぎよりも食べれない方が健康を害する可能性が高いということを反映しているのかもしれません。
まとめ
あくまで「糖尿病を患っている男性」の生存率の話で対象が変われば結果も変わるかもしれません。人間は目の前のモノ(1か月でー10㎏!など)には飛びつきますが、先の事は、特に25年後に健康かどうかを意識してトレーニングする人は少ないと思います。今回の論文は将来の健康のために今運動することの大切さを教えてくれる内容でした。
参考文献
J.Church, T.S. Lamonte.,M.J,Barlow, C. E., Blair.S.N Cardiorespiratory fitness and body mass index as predictors of cardiovascular disease mortality among men with diabetes. Arch. Intern. Med. 165; 2114-2120.2005
一日一新
論文1本
ネットでパーソナル1人終了。いい結果でした!
子供日記
長女:学校から帰ったら一輪車の練習してます。1日でも随分上達しているようです。
長男:幼稚園で友だちできたー。と言ってました。連絡帳にも少しずつ慣れてきたと書かれていました。
次女:少し歩けるようになってきました。
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